僕は不器用です。

何かしら興味のある事をつらつらと書きます。

フィクション

おれはバカだ。

そしてやはりどこか狂っている。

愛を知らない。見えていない。

生きてゆけるのだろうか?

果たして。

文章をかくと落ち着く。

少しだけ落ち着ける。書いている間は冷静になれている。

そのメカニズムはわからないが、紙はおれの言うことを黙ってきいてくれている。そのことに感謝、、ではないが、ありがとうと言いたい。

とにかく書くことで落ち着けている。そう、おそらく亮子と別れた。

 

おれはいつも別れを切り出すのが下手くそだ。自分の気持ちは辛いと言っているのに、別れよう、、だなんて言ってしまう。少しでもうまくいかなくなるとすぐこれだ。僕はいつもそうだ。別れを切り出すのが下手くそだ。

自分の気持ちをわかってやれない可愛想な奴だ。"可哀想"、、か。かなしい奴だ。そのまんまだ。字は嘘をつかない。僕は嘘つきだ。しかし、別れは何故かやってくる。

僕はよくわかっていない。全てのことをよくわかっていない。何一つのことでさえ、よくわかっていない。だって自分のことですらわからないのだから、それは当然とも言える。

 

僕は車をイメージする。そして"なりたい"と想う。ということは、僕は車になりたいと想っている、、、ということになるのかな。もしかするとそうなのかもしれない。車になりたい。長細い車をイメージする。ボックスカーではなくてベンツみたいな。でも高級じゃなくて、よく西部劇映画に登場する砂ぼこり舞わせつつ走ってくるあの長細い車だ。よく故障したりして、乗り捨てられる簡単な車だ。お手頃とも言える。そういう車をイメージする。その車に僕はなりたいらしいのだ。どういうことか?わからない。何がしたいのか?わからない。ただ僕はあの長細い車になってブンブンと走る。例えば小川が傍で流れる住宅街を走る。ドコドコとポンコツ音を鳴らしながら、走る。排気ガスだってすごい。ただ目的なんてなく、歩くスピードで走る。人々はめいわくそうな顔をするだろう。しかし周りに人はいない。おだやかな真っ昼間の快晴な一日だ。少し熱い。初夏だろう。セミはいない。木々は緑に研きをかけ、青々としている。葉は白色に光り、容赦のない日光を照り返している。

おれは誰だ?おれは車だ。しかもポンコツのドコドコと走る、ただの車だ。おれの中身には何も乗っていない。ただ、一つ枕?クッションが一つだけある。緑色した四角いクッションだ。大きさは、、、30cm四方くらいの。たぶん中身は綿だ。なんてことはない。どこにでも売ってそうな安物だ。おれは何がしたいのかよくわかっていない。ただ、ドコドコと走る。それは、したいことではなく、ただ、やることだ。そうだ、それは呼吸に似ている。おれが歩くことは、生き物で言う呼吸に似ている。

「あいつは死んだ。」

クッションが言った。

クッションは確かにしゃべった。

「誰が死んだって?」僕はきいた。

「お前だれとしゃべっているの?」クッションは聞き返した。

「クッション」

「なんでおれがしゃべっているということがわかった?」クッションは僕をにらんだ。

 

車は止まった。

僕は外へ出た。

僕は車のドアノブに手をかけていた。運転席のドアノブだ。

よく晴れた空の下、青々とした木々と、緑色の葉っぱ、短い影。

 

車の色はえんじ色だった。